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京都市の北端に位置する京北は数年前まで北桑田郡の一部でしたが、京都市と合併し右京区となりました。それに伴い、道の駅の増設や京北トンネルの開通等、少しずつ便利になりつつあるようです。当所は1992年、京北の黒田という自然豊かな地域に個人の住宅として建設されました。2000年にそこを引き継ぎ住宅兼アトリエとして大切に守って来ましたが、自然と見事に融合した独特の空間に魅せられる人が多く、この空間をもっと多くの人に知ってもらい活用する事で、新しく、また原点的でもある文化芸術の発信や様々な交流を行い、更には黒田地域の活性化にも繋げたいとの思いからここを「山懐庵」と名付け、山懐庵プロジェクトが生まれました。

 

2012年夏、 麻谷 宏、貴志カスケ、アレッサンドロ・マビリオの3氏によるレジデンスを皮切りにこれまで3カ月に一度のペースで展覧会、レジデンスを開催しております。土地柄や交通の事情から半滞在型となること、また豊かな自然以外にはほとんど何もない事などから、既に確立された作風や芸術観を持つアーティストがほぼゼロから何を生み出すのか、アーティストも来場者も自分の原点に帰るという事が山懐庵の提示する一つのテーマです。山懐庵と言う名前は、山の懐(ふところ)に抱かれた質素なところという意味ですが、静かに明け、また静かに暮れ、川のせせらぎと鳥の鳴き声とともに時間を忘れてひたすら原点に帰ることができるような不思議な空間です。

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